ウィントン・マルサリスは18才でアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに加入し、プロとしての活動を開始した。伝統的なアコースティック・ジャズを継承する大型新人として話題となった。その後、1983年にグラミー賞のジャズ部門とクラシック部門を同時受賞したのを皮切りに数々の賞を受賞した。
栄光に満ちたウィントン・マルサリスは今年64才になる。顔も丸くなった。かつての眼鏡をかけた鋭い顔つきの青年ではなくなった。
オーケストラが舞台に出てきた時、マルサリスがどこにいるのかわからなかった。初めの曲でソロパートを吹いたトランペッターが彼であった。一番後ろの左側の席の彼がマルサリスだった。
彼も64才になった。飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の鋭い顔つきをした彼ではなかった。
年齢を重ねたんだから自然な事かもしれない。だがマイルスはどうだった。亡くなるまぎわまで細身の体型と鋭い顔つきを維持していなかったか。
マルサリスにもそうして欲しかった。マイルスの後継者とまで言われていたんだから。
コンサートでマルサリスがソロを取ったのは最初の曲と休憩後の一曲、合計2曲だった。その2曲もハッとするようなきらめく演奏とはいえなかった。それ以外はトランペット・パートで吹いていただけ。これでは物足りない。ビッグバンドの演奏とはいえ、ウィントン・マルサリスの名前を掲げたコンサートである。これでは物足りない。
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