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レンタルファミリー / 木挽町のあだ討ち / 旅と日々 / この本を盗む者は



--- レンタルファミリー ---


レンタルファミリー

監督が日本人のHIKARI(本名:宮崎光代)でハリウッド映画。これはすごい。ハリウッドは才能のない監督には金を出さない。しかも主演はオスカー俳優のブレンダン・フレイザー(2022年の「ザ・ホエール」で主演男優賞)。柄本明も出ている(2月27日親子同日公開)。

話題の多い映画でもしかしたら「当たり」かも、とチケットを買った。始まって間もなく、「ハズレ」かも。少しして「ハズレ」だな、と確信した。

主役のブレンダン・フレイザーが日本人の役者と絡むたびに気恥ずかしさを感じるのだ。なんなんだろう。脚本が悪いのか。俳優が悪いのか。やっぱり脚本かな。

「ブラックレイン」でマイケル・ダグラスが大阪の警察署で高倉健と絡んだ場面を見ても、気恥ずかしさは感じなかったからな。

レンタルファミリーなんていう商売が日本にあるのかどうかわからない。たとえ無かったにしても、あるように見せるのが映画の技術である。

まして父親をレンタルするなんて。相当工夫しないと説得力はないだろう。監督は主人公をいろいろな顧客に主人公をレンタルすることで、説得力を出したかったんだろう。準主役の女の子との絡みを積み重ねて互いの信頼関係を深めていく方向を採ったほうが映画として王道だったのではないだろうか。

それにしてもあの日本語では意思の疎通は難しい。あの会話力では日本に7年間いて、俳優をやっていたという設定に無理がある。日本に来て3年目の安青錦でさえ、流暢に日本語を喋っているではないか。

柄本明は持ち味が全然出せなかった。息子の柄本佑が「木挽町のあだ討ち」で頑張っていたから、まあいいか。

(2026.3.9)



--- 木挽町のあだ討ち ---


木挽町のあだ討ち

原作は直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子の作品である。時代劇ではあるがミステリーである。このふたつが両立しているところがすごい。

映画の冒頭、木挽町(現在の東銀座、歌舞伎座のあたり)の真ん中で敵討ちが始まる。敵は街のならず者、討つ方は女装した若侍。あたりいったい雪景色である。まるで舞台の一場面のようである。おりしも歌舞伎が跳ねたばかりの観客が大勢取り巻いている。

一年半後、旅の侍が木挽町にやってきた。彼は以前ここで起こった仇討ちの様子を尋ねまわっている。「あの仇討ちは本当にあったのですか?」

謎は謎を呼び・・・。

演じている役者がそれぞれ役にハマっていた。特に柄本佑、渡辺謙、北村一輝、瀬戸康史の演技は素晴らしかった。ラストで流れる主題歌が良かった。クレジットを見ると、椎名林檎、作詞・作曲・歌唱の「人生は夢だらけ」と出ていた。

(2026.3.2)



--- 旅と日々 ---


旅と日々

公開時、見に行くのをためらっているうちに終了してしまった映画である。

最近キネマ旬報のベストテンが発表され、本作が日本映画の第一位と主演女優賞を受賞した。それを記念してキネマ旬報シアターで今週一週間上映されることになった。この機会を逃したら当分映画館では見られないと、柏のキネマ旬報シアターに行ってきた。

映画は二部構成になっている。「夏の海」編と「冬の庄内」編である。

本作の原作はつげ義春の「海辺の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」である。前者が「夏の海」編、後者が「冬の庄内」編となっている。映画では前者は脚本家(シム・ウンギョン)が書いたシナリオによる映画で、後者は脚本家が冬の庄内地方に旅に出る、という話になっている。

「夏の海」編では風になびいて揺れる河合優実のスカートが、「冬の庄内」編では雪の中にたたずむシム・ウンギョンの姿がつげ義春の描いた主人公の姿にそっくりだったことが印象に残った。

セリフが少なく、映像で表現するタイプで、どちらかといえば苦手なタイプの映画であった。

(2026.2.19)



--- この本を盗む者は ---


この本を盗む者は

原作は何度も直木賞候補になっている深緑野分。彼女は「オーブランの少女」「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」など何冊かの魅力的な本を書いている。

本映画はファンタジーである。岡山あたりの地方都市の旧家。主人公の曽祖父が大量の本を保管していて、街の人に開放していた。私設図書館である。その娘である祖母はそれを相続した。祖母は本を厳格に管理していた。ある時、何冊かの本が盗まれた。それを契機に祖母は施設図書館を閉鎖した。そして今後本が盗まれたら、街全体を別の世界に変えてしまうという、呪いをかけて亡くなった。施設図書館を相続した父親は祖母の方針を受け継ぎ、厳重に閉鎖している。

という設定から物語は始まる。

この本を盗む者は

登場人物は図書館の本を読んでいるか、昼寝しているか、のどちらかしかしない叔母。 主人公の女子高生。入院中の父親。不思議な少女ましろ。

ある日主人公が図書館に入ってみると、何冊かの本が盗まれているのを発見する。大変だ。祖母の呪いが発動する。

物語は現実ともう一つの世界、パラレル・ワールドを行ったり来たりして展開してゆく。

女子高生が暮らしている街の風景、図書館の中の様子はリアルで魅力的であった。ファンタジックな風景は想像力がいまいち足りない。この場面は描きようによってはもっと魅力的になったはずである。

(2026.1.9)


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